Microsoft が次期ブラウザ Internet Explorer 9 の HTML5 Video 動画再生で H.264 のみをサポートする。と、公式ブログで明らかにしました。
H.264 は携帯電話等の低画質から HD 等の高画質までに幅広く利用されていますが、Microsoft のこの発表には批判の声も上がっているそうです。
HTML5 の仕様では、動画フォーマットまでは規定されていない為、ブラウザによってサポートするフォーマットが異なり、Microsoft の発表で現在、H.264 を推す Internet Explorer(Microsoft)と Safari(Apple)、Ogg / Theora を推す FireFox(Mozilla)と Opera、両方に対応した Chrome(Google)という形になっています。
つまり、とある Web ページの動画が、あるブラウザでは再生出来るが、このブラウザでは再生出来ないという利便性の問題が指摘されています。
H.264 と Ogg / Theora の詳細は Wikipedia に記載があるので、そちらを参照して頂くととして
H.264 – Wikipedia
Ogg – Wikipedia
Theora – Wikipedia
各メーカーが採用したフォーマットの理由としては、Apple は QuickTime で H.264 に対応し既に多くの時間とお金を投資し、Microsoft は「業界標準であり、幅広いハードウェアでサポートされている」、Mozilla と Opera は「オープンビデオにはオープンコーデックがふさわしい」としています。
何と言うか、それぞれに頷ける内容とは思えます。
ただ、過去の GIF 特許問題の例もありますので、特許技術である H.264 は、特許を所有する MPEG LA の振る舞いによってはエンドユーザーへ課金の可能性が無いとも言い切れません。
そうした中で、どちらにも対応している Google が On2 という企業を買収しています。
この On2 は、VP3 〜 VP8 というビデオフォーマットを開発していた企業で、2001年に VP3 を特許を含めてオープンソース化しており、その技術は Ogg / Theora に今でも利用されているそうです。
色々な企業を買収しては自社サービスに組み込み、開放している Google の事ですから、独自のビデオフォーマットをオープンソースで公開する可能性もあります。もし、仮に Google がオープンソースのビデオフォーマットを公開し、YouTube に採用した日には。。。市場がひっくり返るかもしれません。
とまあ、意外に知らぬ所でライセンス料が発生しているものだなと思ったりもしましたが、使う側にとっては、見た目が同じでも基板が違うという状況は好ましくはありません。出来ればスッキリ、スマートにして欲しいものです。